異常な眼圧上昇
(2021/6/17) 
 白内障手術の後、眼圧が異常に上昇しました。
 眼圧は10〜21mmHgが正常範囲とされていますが、私の場合は、この半年ぐらいの眼圧は14〜16mmHgぐらいで安定していました。
 術後の眼圧上昇については次のような説明があります(医療法人クラルス はんがい眼科)。なお、「招待」は「消退」 の間違いではないかと思います。
白内障手術を受けると、多くは眼圧はほんの少し低くなります。しかし、まれに一時的に眼圧が急に上がってしまうことがあります。多くは、手術中に必ず使用する粘弾性物質の残留によるものです。術後に炎症を招待させるために使うステロイド点眼で眼圧が上がることがあります。 
 私の場合は、粘弾性物質残留による眼圧上昇とステロイド点眼による眼圧上昇が連続して起こったようです。
 次の表の「フルメトロン」というのはステロイド点眼薬です。術後の炎症を抑えるため(予防的に?)処方されます。
 「ダイアモックス」というのは、房水の産生を減らして、眼圧を下げる内服薬で、かなり強力ですが、副作用があります。私の場合は、口の周りや下半身にしびれが出ました。
 「アゾルガ」というのは、房水の産生を減らすことにより、眼圧を下げる点眼薬です。効き目はダイアモックスよりは劣るようです。
 「アイラミド」というのは、房水の産生を抑え、流出を促進することにより、眼圧を下げる点眼薬です。2種類の成分が配合されています。
 炭酸脱水酵素阻害薬とβ遮断薬は房水の産生を抑える薬です。α2刺激薬は房水の流出を促進する薬です。内服薬の方が効きますが、副作用は全身に及びます。いずれの薬にも副作用があります。
フルメトロン 点眼薬 ステロイド、主な副作用は眼圧上昇13件(0.13%)
ダイアモックス 内服薬 炭酸脱水酵素阻害薬
アゾルガ  点眼薬 炭酸脱水酵素阻害薬・β遮断薬
アイラミド 点眼薬 炭酸脱水酵素阻害薬・α2刺激薬 
 術後の眼圧の変化は次のとおりです。黄色の部分は、ステロイドを点眼した期間を示しています。濃い黄色はステロイドの影響が現れたと思われる期間を示しています。なお、ステロイドの影響は、点眼を中止した後も、相当期間残存したものと思われます。
  左  右 
2月12日 14.7mmHg  16.0mmHg 
22日 14.3mmHg 13.7mmHg 
3月10日 手術  
11日 38mmHg
フルメトロン点眼開始
ダイアモックス服用、副作用 
15mmHg
ダイアモックス服用、副作用
12日 ダイアモックス服用、副作用 ダイアモックス服用、副作用 
13日 14mmHg  15mmHg 
17日   手術
18日 25mmHg
ダイアモックス服用は1度だけ
29mmHg
フルメトロン点眼開始
ダイアモックス服用は1度だけ
22日 34mmHg
フルメトロン点眼中止
アゾルガ点眼開始
21mmHg
フルメトロン点眼中止
アゾルガ点眼開始
26日 28mmHg  25mmHg 
4月  2日 29mmHg
ダイアモックス服用開始
アゾルガ点眼も継続
アイラミド処方
33mmHg
ダイアモックス服用開始
アゾルガ点眼も継続
アイラミド処方
5日 16mmHg 18mmHg
5日 夕、ダイアモックス半錠服用
6日 朝、ダイアモックス半錠服用
夕、50分ほど散歩すると、しびれが全身に広がり
以降、ダイアモックスの服用中止 
7日 22mmHg
アゾルガ点眼再開
30mmHg
アゾルガ点眼再開
12日 18mmHg  20mmHg 
19日 14mmHg
アゾルガ点眼中止 
14mmHg
アゾルガ点眼中止 

手術をしていない左目の眼圧まで上昇

 左目の手術翌日の眼圧上昇は、粘弾性物質の残留によるものだと思われます。眼圧測定の時点では、フルメトロン(ステロイド点眼薬)はまだ点眼していないので影響は出ていません。ダイアモックスを服用すると眼圧は下がりましたが、口の周りや下半身がしびれる副作用がありました。 
 右目の手術翌日の測定では、1週間前に手術をした左目の眼圧まで上昇しています。何か変だなと思ったのですが、医師からは特に説明もなかったので、質問するのも気が引けて、そのままにしました。ダイアモックスの副作用については報告しましたが、薬の変更はなく、今回も処方されました。
 しかし、ダイアモックスは最初の1回だけ服用し、後は停止しました。その理由は、@副作用の心配、A眼圧の上昇が前回ほどではなかった、B左目の眼圧がどう変化するか様子をみたかったからです。

左目は上がり、右目は下がる
 休日を挟んだので、次の測定日は4日後となりました。測定してみると、左目の眼圧が上昇したのに、右目は下がるという奇妙な結果となりました。その結果、医師からは、フルメトロンの点眼を中止するように指示があり、アゾルガが処方されました。そのとき、「フルメトロンはステロイドなので」という説明があったので、
検索してみて、ステロイドが緑内障の原因になることやステロイドレスポンダー(ステロイドに敏感に反応する体質の人)がいることが分かり、かなりの危機感を持ちました。

左目は高止まり、右目は上がる
 その後、アゾルガの点眼を10日ほど続けたのですが、左目の眼圧は高止まりで、右目は上がり続けました。アゾルガは、あまり効いていないようで、医師も説明に困ったようです。
 そこで、アゾルガに加え、ダイアモックスを服用することになりました。さらにアイラミドも処方され、アゾルガがなくなったら、代わりに点眼するように指示されました。
 3日後、測定すると、左は16mmHg、右は18mmHgに下がっていました。副作用はあるもののダイアモックスは効くようです。
 この時点で、フルメトロンの点眼を中止してから、2週間以上経っていました。
 ステロイド投与中止により眼圧は正常化するとのことですから、そろそろ眼圧が下がり始めても良さそうです。
 そこで、ダイアモックスとアゾルガの使用を停止して、様子を見たいという希望を伝えたのですが、医師は断固反対でした。
 そして、副作用が心配であれば、ダイアモックスの服用は半錠ずつでも良いが、アイラミドも併用して点眼するように指示されました。

ようやく正常眼圧に戻る
 その日夕方、ダイアモックスを半錠服用し、さらに、翌日朝、さらに半錠服用しました。さすがに、過剰かなと思い、アイラミドの点眼は止めておきました。
 すると、その日の夕方少し運動すると、下半身全体に痺れが広がり始めました。それで、怖くなってダイアモックスの服用を中止し、翌日、別の眼科医の診断を受けました。
 その眼科医院で眼圧を測ると、左は22mmHg、右は30mmHgでした。前回のダイアモックス服用から24時間経っているので、ほぼ効果は消滅しています。つまり、ようやくステロイドの影響が薄まり始め、まず左目から眼圧が下がり始めたものと思われます。
 そして、アゾルガの点眼を再開し、3日で右目の眼圧も下がり始め、それから1週間で正常眼圧に戻りました。

徐々に上がり、徐々に下がる
 ステロイド点眼と眼圧の関係をまとめると次のようになります。**はダイアモックスを服用した結果の眼圧で、*はアゾルガを点眼した結果の眼圧です。アゾルガはともかく、ダイアモックスはかなりの効力があるので、実際の眼圧がどれ位だったのか、推測するのは困難ですが、おおよその傾向はつかめます。
左  右 
点眼開始から2日 14mmHg**    
    点眼開始から4日 21mmHg
7日 25mmHg    
    8日 25mmHg*
11日 34mmHg    
15日 28mmHg* 15日 33mmHg*
21日 29mmHg*    
点眼中止から14日 16mmHg** 点眼中止から14日 18mmHg**
16日 22mmHg 16日 30mmHg
21日 18mmHg* 21日 20mmHg*
28日 14mmHg* 28日 14mmHg*
 ステロイドの点眼開始から1週間ほどで25mmHg、2週間ほどで33〜34mmHgというように、眼圧は徐々に上昇するようです。点眼の期間は、左目は11日間、右目は4日間ですが、これ位の期間でも人によっては、眼圧が上昇するということです。ただ、長期間点眼しても、一般に自覚症状がなく眼圧の上昇に気づかないことが多いということですから、眼圧が際限なく上がり続けるわけでもなさそうです。
 また、ステロイドの点眼を中止しても、すぐに眼圧が下がるわけではなく、2〜3週間後位から徐々に下がり始めるようです。 
 私の場合は、右目の手術翌日の測定で、1週間前に手術をした左目の眼圧まで上昇していたことに疑問を感じ、ダイアモックスの服用を中止しましたが、もし、そのまま服用を続けていたら、どうなっていたでしょうか。
 ダイアモックスは強力な効果がありますから、手術4日後の測定では、眼圧は正常範囲に収まっていた可能性があります。すると、ステロイドの点眼を継続することになります。ダイアモックスの効果が切れれば、再び眼圧が上昇することになりますが、そのことに気づかなければ、相当の期間、高眼圧にさらされることになります。
 あえて、ダイアモックスを服用しなくて良かったと思います。そもそも、1週間前に手術をした左目の眼圧まで上昇しているのだから、まず、医師が異変に気づくべきだったことは、いうまでもありません。